第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、今なおあらためて注目を集める20世紀建築の巨匠 ル・コルビュジエについて。
神保町の古書店のウィンドーで見つけた“ル・コルビュジエ全集 1910-1929”(仏版1)。タイトルの後に ET PIERRE JEANNERET と記されています。朱色の地に手描きの設計図や文字を白抜きで入れた表紙のデザインにハッとしました。このオレンジがかった明るい朱色、経年変化があるかもしれませんが、溜息をつくくらい、雰囲気があって素敵です。
コルビュジエの本“RONCHAMP 2”。ロンシャン礼拝堂建築を紹介した本で、建築学の書物ではなく、モノクロームの映画を紙に落とし込んだような一冊。外観・内観のモノクロームの写真、コルビュジエの手描き文字に、ぐっと引きこまれます。ページ構成、レイアウト、デザインはコルビュジエ自身によるものだそうですが、力強くて美しい。
コルビュジエやカルダー、ピカソに関する本は、本としてのデザインの魅力に溢れたものが多く、ついつい何冊も買ってしまいます。
恵比寿の MA2 Gallery で5月18日まで、コルビュジエの絵と家具の展示を開催中。GALLERY -SIGN さんのセレクトは、いつも新鮮で刺激的なのですが、今回も、スイス学生会館のテーブルや、ブラジル学生会館のシャワードアなど見ることができて嬉しかったです。1階から4階までを見て廻る、ギャラリーの造りもカッコいい。
2007年にパリのラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸とナンジェセール・エ・コリ通りのアパートを訪ねたことがあります。入口の表示やエレベーターホールの壁に、コルビュジエのスケッチや文字が使われていたのを覚えています。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2019年5月2日 公開
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