第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載。今回は、群馬県高崎市への出張編です。
「生誕100年 木村忠太展」が、3月26日(日) まで高崎市美術館で開かれています。私は3月5日(日) にギャラリートークをすることになり、打ち合わせに行ってきました。隣の小学校校庭の梅は2分咲きでしたが、紅白の蕾がふくらんで綺麗でした。
手元にギャルリーたからしから送られてきた1983年の「木村忠太新作展」のDMが残っています。表参道の青山学院脇にあったギャルリーたからしで絵を見てから、木村忠太さんの色に惹きつけられました。1989年の松濤美術館、1994年の東京国立近代美術館、2002年の群馬県立近代美術館、2010年の高崎市美術館での展覧会も見ていて、古書店で大きな画集も買いました。
南仏に移り住んで描き続けた油絵やパステル、鉛筆デッサン、リトグラフの作品には、地方の村や街の名前、季節のタイトルがつけられています。今までにその絵の前にじっと立ちつくして、見つめていた時間のせいか、懐かしく感じられる絵がたくさんあって不思議です。
高崎市美術館 1階奥から庭を通って、旧井上房一郎邸も見学出来ます。建築はアントニン・レーモンド、以前鎌倉の近代美術館で展示を見たことがありますが、今回、レーモンドの妻ノエミがデザインした円形のテーブルに目がとまりました。
縁の部分がやや上に持ち上がった、トレーのようなフォルムがとても魅力的で、今、製造されていたら欲しいなぁと思ったくらいです。
展覧会図録の見返しやチケットに、私が大好きな南仏の黄緑色が使われていて、半券も大事なコレクションになりそうです。
ギャルリーたからしで買ったリトグラフのポスターは、1986年の展覧会の時のもの。シンプルなフレームに入れて飾っています。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2017年3月1日 公開
> 高崎市美術館 > 生誕100年 木村忠太展 光に抱かれ、光を抱いて。
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