第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、寒い国の温かな道具について。
北欧旅行のお土産に買った白木のバターナイフ。
白木に焼き印の文字のシンプルなデザインは、買ったばかりの頃も素直にすーっと心へ入ってくる初々しさでした。でも年月を経て自然に落ち着いた木の色、木目の様子は、温かくて何気なさそうで、カッコいい。私はどうも文字のデザインに魅かれてしまうのかもしれません。今のバターナイフは、木の色が深くなり、文字だけが目立たないで、いい雰囲気に感じられます。
バターはスウェーデン語でsmör、デンマーク語でsmør、フィンランド語でvoiと綴ります。
この2本は木目が綺麗で潔いフィンランドのもの。アイスクリームの木ベラのように薄手で簡単な作りですが、木ってすごいなと思ってしまいます。
先端が平らなものは、マーマレード用。しっかり入った文字が素敵です。
(1番上の)7本並んだ写真の左斜め上のものは、ストックホルムの工芸品を扱うお店で買い求めた、作品に近いタイプ。木目が非常に美しく、持ち柄のカーヴもなだらかで、丁寧な仕事にハッとします。
普段は台所のオーヴンの隣り、空瓶に、こんなふうに立ててあります。(日本の竹やツゲのバターナイフの瓶、大小様々な白木のスプーンの瓶も横一列に並んでいます。)
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2016年12月16日 公開
【企画展開催中】
box / objet
[会場]CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店(CLASKA 2F)
[会期]2016年12月10日(土)〜2017年1月9日(月祝) 11:00〜19:00
[出品作家]澄敬一 / 堀井和子 / 古賀充 / 勝本みつる / 藤城成貴 / 吉川和人 / Tiny N 花生師 岡本典子 / atsumi / 西本良太 / 葉田いづみ / kotoriten / 佐久間磨
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POST 中島佑介さんによる「箱」視点で選んだアートブックの展示・販売しています。
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