第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。温かいコーヒーが美味しい季節になりました。
今年2月に designshop で開かれた「釜定 南部鉄器ケトルとコーヒー展」でケトルを注文し、コーヒー豆を量る鉄器のスプーンを買いました。
スプーンは底が丸いタイプもありましたが、こちらを選びました。底が斜めに傾き、柄がやや持ち上がっていて、テーブルに置いた時のデザインがカッコいい。
盛岡の工房へ伺うたびに、宮伸穂さんがデザインした片手持ちのポット(試作品)が気になっていました。展覧会でも初めは、製品化された、縦長の直線的な形がモダンなポットの方を見続けましたが、コーヒー党ではなく、紅茶党の私たちは心が決まらなかったのです。
もう一度会場を見回した時、この穏やかなケトルCのデザインが、ふと、心の中へ入ってきました。すっとさり気なく、飄々としたカーヴが美しい。ずっと一緒に時を重ねたいケトルだなぁ・・・と、しばらく見つめた後に、こちらを注文した次第です。
半年程待っていましたが、その時間もワクワクしてよかった気がします。持ち柄や蓋のつまみ部分も、見飽きないデザインで、南部鉄の表情が凛々しく感じられます。キッチンのケトルを見ては、何だか温かな気持ちになっています。
白磁のカップ&ソーサーは、だいぶ昔に見つけたスイスの LANGENTHAL 社製。質感や白の色合い、厚みや形を含め、コーヒーを飲むならこれが一番と思っています。どこでいつ買ったかの記憶もないのですが、今はあまり見かけないデザインのカップ&ソーサーかもしれません。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2017年10月6日 公開
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