第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、贅沢な「透明」の世界。
実家の押入にしまってあった食器を整理する機会があり、お正月に皆が集まった時、要るものがあったら持ち帰ることに。その中に、以前製作したガラス器を見つけました。
もの作りすると、自分の家で実際に使ってみる分、保管しておく分の他、妹や母にも使ってもらおうと、実家へ持って行っていました。使いきれないものを、母がしまっておいたのだと思います。私も手近に無地の透明なタイプを残し、あとはマンションの別の階にあるクローゼットにしまっていました。そんなわけで、しばらくぶりに見たこのガラス器、とても新鮮に感じられました。
直径13.5cm 高さ7.5cm、縁に2.5cm 幅でサンドブラスト加工をして、底に手描き文字を入れたデザインです。ベースは、ヴィンテージのコーヒーサイフォンの部品を元に金型を起こしてもらったもの。小さいサイズの割に工程が多く、コストもかかっています。なかなか、こういう贅沢な造りのものに挑戦しなくなっていました。今、この迷いのない酔狂なディテールに、自分自身ハッとするのです。美しいなぁと思いました。
直径24cm 高さ11.5cm の大らかなガラスボウルは、スタジオ・プレパの宙吹の作品。ガラス全体に入った細かい泡が印象的です。
2人分でも、ルッコラやプリーツレタス、ミックスハーブなど葉っぱのサラダは、このくらいの大きさ、側面のカーヴだと、具合よく和えることができます。浅めだったり、開いた形だったりすると、和えていて外へ飛び出しやすいので。先月見つけたばかりですが、我家で、かなり活躍し始めています。
北欧旅行で買った木のサーバー。素直なデザインで、丁寧に作られた形、ありそうで、なかなか見つけられないタイプかもしれません。
こちらは1985年頃、マンハッタンの "ADHOC" で見つけたガラス器。直径22.5cm 高さ11.5cm で、プレパのガラスボウルより容量は小さくなりますが、外側全面にすりガラスのような加工をしてあり、透明に抜いたアルファベット文字のデザインが面白い。プレスガラスのベースですが、この遊び心たっぷりな半透明は、サラダを素敵に見せてくれます。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2018年2月16日 公開
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