第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。まっさらな1年の始まりは、真っ白なTシャツから。
土曜日しか開いていない、白いTシャツのお店 "#FFFFFFT(シロティ)" に入ってみました。
オープン当時はいつも列が出来ていて、列に並ぶ元気と中でやりとりする勇気が足りない気がして、ガラス越しに眺めるだけでした。12月初めに前を通りがかったら、列がなくてのんびりした様子だったので中へ。
テキスタイルの質感(繊維の密度やハリ)、ボディの形、ネックのデザイン(ボタンのある、なしや、襟あきのカーヴ)、メーカー名のプリントなど、それぞれ違っていて、着るとどんな感じなのか、見ているうちにどんどん興味が湧いてきました。特に、メンズ&ユニセックスの種類がいろいろあって面白く感じました。
mother の armi は襟あきの具合、袖のフィット感がインナーにもよさそうなタイプで、レディースの、あまりピタピタではないサイズ。
ひとつボタンのヘンリーネックのTシャツは、福井の TANABE MERIYASU というファクトリー製。野球のユニフォームがソースになったデザインで、ネック部分がリブ加工ではなく、シャツのような見返しを付けてあるのだそうです。実はこちらは主人が選んだメンズの、しかもLサイズ(Mサイズがなかったので)。
家に帰って試着させてもらうと、肩のラインはかなり落ちて、見頃もゆとりがあるのですが、前をinして着ると、何だかハッとするくらい雰囲気が出るように思いました。ネックのデザインとテキスタイルの質感のせいで、Tシャツなのに、シャツブラウスみたいに着ることが出来て新鮮でした。このヘンリーネック、譲ってもらって、主人のTシャツをまた探しに行くことに。
神保町の古書店で、岡本太郎の“青春ピカソ”という本を見つけました。
2年くらい前に、検索していて装丁が気に入った本3冊をメモ代わりに出力しておいたのですが、そのうちの一冊でした。実物を見たいなぁと思っていたものですから、棚からすっと取り出して、表紙を見た時 “あ、あの本!”とすごく嬉しい気持ちに。
頭の中のリストにある本(どちらかというとタイトルではなく、表紙のデザインで記憶しています)がふと目の前に現れた瞬間は、子供みたいに飛び跳ねたくなります。この瞬間の気持ちが味わいたくて、緩い探しかたをしているのかもしれません。右側は秋田のイタヤ馬。今年は亥年ですが・・・・・・。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2019年1月4日 公開
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