私の愛用品 〜お守りみたいなもの〜

CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第34回は、スタッフが上京するときに祖母からもらったビアカップの話です。

第34回:賑やかな食卓を思い出すビアカップ

ビアカップ

私にはとても男勝りでたくましい祖母がいます。御年86歳ですが、今でも毎日のようにビールを飲み、旅行が趣味のアクティブな祖母。幼い頃から祖父母と暮らしていたので、食卓を囲むたびに横でビールを飲んでいる祖母の姿が、子どもながらにカッコよく目に映っていました。一種の“憧れ”ですね。

その祖母がビールを飲む時に使っていたのが、このビアカップ。祖母がドイツに旅行した時に買ったもので、熱伝導性に優れた錫でできています。10年前、私が実家を出て上京する時に、祖母に頼んで譲ってもらいました。

ビアカップ

ただ、使い始めたのは1年前から。祖母がいつも使っていた特別なものなので、今までは棚やキッチンに飾っており、使うタイミングを見失っていたんです。でも、コロナ禍に入りおうち時間が増えた頃、なんとなく「使ってみるいい機会かもしれない」と思い、使い始めました。

ビールを注ぐと味が美味しくなる気がして好きですが、実は細部まで気に入っているところは特になくて……。デザインに惹かれたわけではなく、自分で買ったものでもありません。欲しいと思った理由は、やはり「祖母が使っていた物だから」ですね。

ビアカップ

このビアカップはお守りみたいなもので、家族みんなで食べたご飯の時間をふと思い出します。幼い頃から食卓を囲む時は、祖父母と兄妹、共働きの為遅れて参加する両親、同じく帰りが遅い両親を持ついとこが集まり、いつもワイワイと大人数でした。

今は一人暮らしの為、そんな機会はめっきり減ってしまいましたが、あの時過ごした、賑やかで、美味しくて、あたたかい時間はとても大切な記憶です。また実家に帰る時には、祖母たちと一緒にご飯を食べる時間を大事にしようと思います。


(CLASKA Gallery Shop & “DO” 丸の内店 スタッフ 鈴木絢)

公開日 2022年1月21日
聞き手・写真・文 黒沢友凱

バックナンバー