第29回
CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第30回は、栃木県益子町で、毎年2回行われる「益子陶器市」に初めて参加した時に出会った作家・
友達に誘われ、5年前のGWにバスで「益子陶器市」に行った時のことです。まだクラスカに入社する前で、器や作家さんについてあまり詳しくなかったのですが、興味だけはあったので「いい機会だから」と、行ってみることにしました。
しかし、道中渋滞でバスが遅れ、会場に着いたのは閉場の2時間前。「ここまで来たのだから絶対に自分が気に入ったものを買ってやる」と会場内を駆け巡り、いくつか購入出来た器の中で唯一手元に残っているのがこのお皿です。
形の綺麗さはもちろん、絶妙な深さや縁の厚み、釉薬のムラなど、一言では語りつくせない魅力が沢山あります。使っていくうちに、お皿に盛った料理の色が少しずつ染みてきて、味わいが増したところもポイントですね。
作りが繊細な器は、それに見合った綺麗で上品な料理を作らないといけないように思えて気が引けてしまい、少し苦手です。でも、この器は素朴でどっしりと構えた雰囲気と程よい大きさだからか、どんな料理にも気軽に使うことができて、気に入っています。
ちょうどこの器に出会った頃、前職の会社で働く自分に違和感を覚えて、精神的に少し辛い時期にいました。でもこの陶器市に足を運んだことで、好きなものを探し出すワクワク感や楽しさを改めて感じ、会社を辞めるかどうか本気で考えるきっかけになったんです。
1年後、結局前職を辞めて、クラスカに転職しました。今は自分の好きなことに関わる仕事ができているので、あの時陶器市に行くことができたのは本当にいいタイミングだったと思います。結果、ここまで愛着を持てるものに出会うことが出来たし、そんな器を見つけられた自分にも感謝しています。今後も日常的に使っていきたいですね。
(CLASKA Gallery & Shop “DO” 丸の内店 店長 夜船彩奈)
公開日 2021年12月10日
聞き手・写真・文 黒沢友凱
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