私の愛用品 〜お守りみたいなもの〜

CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第12回は、韓国・釜山にある眼鏡工房、「STUDIO OTTO(スタジオオットー)」にオーダーした眼鏡の話です。

第12回:作り手の誠実さがこもるハンドメイドの眼鏡

眼鏡

2年前、初めて訪れた韓国である眼鏡に出会いました。当時、ソウルで開催されていた見本市の一角で、韓国の優れたクリエイターの1人として紹介されていたのが、「STUDIO OTTO」のKIM GIL SOOさん、その眼鏡の作り手です。

クラシックなデザインが一目で気に入り、キムさんの趣味性や考え方が自分とそう遠くないないだろうなと思い、興味を持ちました。販売していたわけではないのでそのまま会場を後にしたのですが、帰国してから無性に眼鏡のことが気になり、知人を介して思い切って問い合わせてみることにしました。1から図面を起こしてすべて手作業でつくるオーダーメイドにもかかわらず、価格は日本で売っている既製品のフレームとあまり変わりません。納期も約2ヶ月とのことで迷わず注文しました。

手紙

でも、諸事情あって届くまでに4ヶ月くらいかかりました。そのことをキムさんがとても気にしてくださったようで、同封されていたのがこの手紙。細かいオーダーに応えてくれた大満足の出来以上に、不慣れながらも一生懸命手書きで書いてくださった日本語の手紙を見て、キムさんの仕事に対する誠実さ、真摯さを感じ、強く心を打たれました。本当にお願いしてよかったと思っています。

もともと目が悪い人のための矯正器具でしかなかった眼鏡が、いつからか自分のキャラクターを形作る重要なファッションアイテムになりましたよね。僕にとって眼鏡は愛用品という以上に体の一部であり、さらに性格の一部でもあると思っています。眼鏡1つにその人の性格や趣味、「その人らしさ」が色々出ていて面白い。この眼鏡にも自分では気がつかないことも含めて「僕らしさ」が良くも悪くも出ているのでしょう。いつかまた韓国を訪ねて直接お礼したいですね。


(CLASKA ディレクター 大熊健郎)

公開日 2021年8月6日
聞き手・写真・文 黒沢友凱