第28回
CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第29回は、小学校低学年の頃に買った、「お父さんに似ている気がする」というロボット型の電動鉛筆削りの話です。
一目ぼれでした。百貨店の文房具売り場で目にした、ロボット型の電動鉛筆削り。がっしりとしてかっこよくありながら、ちょっとかわいくもあるフォルムと雰囲気に、私が3つの時に亡くなった父の姿が重なりました。
おぼろげな記憶の父の姿と、家族から聞いたイメージがどことなくこの鉛筆削りに似ている気がしたんです。80年代初期に購入したので今はもう動きませんが、見るたびに心を落ち着かせてくれる気がして、ふと目に入る場所に置いています。
両手の握りこぶしには鉛筆を刺すことができます。顔の部分は半透明なので、外から鉛筆が削られていく様子が見える仕様でした。
子どもの頃から割と男の子っぽいものが好きで、この鉛筆削りは全体的なフォルムが角張っていているところが気に入っています。頼りになりそうな胸板の厚さも好きですね。背中のスイッチを入れると足の裏が卓上クリーナーになる機能も付いていて、当時としてはめずらしいものでした。
実は、日常的に使っていたのは別に持っていた手動の鉛筆削りでした。だからこの鉛筆削りは、「使う」というより「眺める」ことのほうが多かったかもしれません。ずいぶん前に電池が錆びて充電できなくなってからは、遠慮なくオブジェとして本棚に飾ってあります。
今も昔も毎日使うようなものではないのですが、私にとってはずっと愛着があって、「残したい」と思えるものです。引っ越しなど、何度も断捨離できるタイミングはありましたが、手放す気にはなれませんでした。なんだか父親がこの鉛筆削りを通じて見守ってくれているような気がするので、これからも手元に置き続けたいと思います。
(CLASKA Gallery & Shop “DO” たまプラーザ店 スタッフ 安藤幸穂)
公開日 2021年12月3日
聞き手・写真・文 黒沢友凱
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