第16回
CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第17回は、たまたま訪れた地図の展示イベントで買った、16世紀後半の地図のポスターの話です。
ちょうど1年ぐらい前、何百年も昔に描かれた日本や世界の地図がポスターになって展示されているイベントがあって、たまたま通りかかったんです。その時、パッと目に入ってきたこの地図の色使いや見た目に、一目惚れしてしまって。安直な考えですが「こういう地図が部屋に飾ってあったらかっこいいかな」と思い、半ば勢いで買いました。
16世紀後半にオランダの地図製作者、アブラハム・オルテリウスが作成したものだそう。真ん中上部にはラテン語で「世界地図」と書かれています。
今から約400年前というと、まだ産業革命も起きておらず、世界を移動するには船での航海が当たり前だった時代です。当時はまだヨーロッパの人が日本まで来ておらず、その形については日本から伝来した古い書物を参考に想像で描いたので、形が違っていたりしますが、全体的には当時の高い測量技術が使われた世界地図を見て、その精度の凄まじさに驚きました。
特に気に入っているのが、ところどころに出てくる可愛い怪獣の絵です。可愛いけれど、海に出たことがない当時の大衆は、「海って怖い生き物がいる恐ろしい場所なんだな」とか「世界って広くて面白そう」とか考えていたのかな、と想像するとワクワクします。私にはただ可愛さだけで怪獣の絵を描いたとは思えないので、どういう思いで描いたのかすごく気になりますね。
昔の人に思いを馳せられると同時に想像も掻き立てられるから、家でぼーっと眺めることもしばしばあります。作者にはもう伝えられないけれど、「ここ違うよ」って笑いながら教えたくなる、私の愛用品です。
(CLASKA Gallery & Shop "DO" 二子玉川店 スタッフ 高桑未来)
公開日 2021年9月10日
聞き手・写真・文 黒沢友凱
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