第15回
CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第16回は、フランス・パリ市内の蚤の市で買った、アンティークなお皿の話です。
もう10年も前のことになります。当時アンティーク雑貨に夢中になっていた私は、初めての海外旅行にフランスを選び、現地で自分がいいと思った雑貨を買い付けて、将来アンティークを扱う雑貨屋さんを開こうと思っていました。
帰りの荷物検査で引っかかるほど大量に買ったのですが、ある時、アウトドアにハマったことがきっかけで飽きてしまい、知り合いに全部売りに出したんです。でも、唯一残ったのがこのお皿。売れ残ったことで、結果的に愛着が沸いた1皿です。
購入の決め手は、絵の周りを彩るきれいな緑の縁と、下絵から「これでもか」とはみ出ている色付けのいい加減さ。この状態で完成させた「投げやり感」が、きっと日本のものではなかなか無いだろうと、珍しく思ったのも理由の1つです。ちょっと不格好な部分もあるけれど、これはこれで味があって気に入っています。
買ったのはフランスですが、裏には "MADE IN ITALY" の文字が刻印されています。
雑だけど自由な部分が、すごく海外らしいなと思いました。初めてフランスに行った時に思ったのが、「みんな自由に生きているんだ」ということ。多くの日本人みたいに仕事中心で生きるのではなく、それぞれが「日々を謳歌するために生きていること」を旅の中で強く感じました。
人生の中で、お金を気にしすぎず1週間も1人で自由に海外を旅行する時間なんて、この先あまりないと思います。このお皿は朝食の時にトーストと目玉焼きを乗せて食べていますが、ふと見るたびに、まさに「人生の1コマ」を思い返します。たまたま手元に残ったものが愛用品になるなんて、面白いですね。
(CLASKA Gallery & Shop "DO" 二子玉川店 スタッフ 高峰真白)
公開日 2021年9月3日
聞き手・写真・文 黒沢友凱
第15回
第14回
第13回
第12回
第11回
第10回
第9回
第8回
第7回
第6回
第5回
第4回
第3回
第2回
第1回