第1回:今の自分に合うパンツ、知ってますか?
〜「work pants」ができるまで
CLASKA が発信するアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナー藁谷真生が綴る、
服作りにまつわるエピソードや日々のおしゃれにまつわるあれこれを毎週土曜日更新でお届け。
今回は特別ゲストとしてスタイリストの伊東朋惠さんをお迎えし、まもなく発売となる新作の「gauze tops」と「gauze one piece」を使った、等身大の着回し術を提案していただきます。
文=落合真林子(CLASKA)
モデル=藁谷真生(HAU デザイナー)
<今回のゲスト>
Profile
伊東朋惠(いとう ともえ)さん
雑誌や書籍、広告などでフード、ファッションのスタイリングを手がけるスタイリスト。フォトグラファーの夫、6歳の息子、猫と暮らす。
藁谷:HAU の服は、“洋服は、暮らしの中の一部である”という思いを持ってデザインしています。だからこそ、洋服のセンスが良いことはもちろん、生活者としても魅力的な方の着こなし術を拝見してみたい! と思い、伊東さんにお声がけをさせていただきました。
普段この連載では、私自身の視点でHAU のアイテムを使った着こなし提案を行っていて、プロのスタイリストさんにご登場いただく試みは今回が初となります。どうぞよろしくお願いいたします!
伊東さん(※以下敬称略):こちらこそ、よろしくお願いいたします。
藁谷:早速ですが、今回着まわしていただく「gauze tops」と「gauze one piece」、最初の印象はいかがでしたか?
「gauze one piece」(まもなく発売予定)/1万4800円+税
ホワイト・ライトグレー・チャコールグレーの3色展開(写真はライトグレー)
「gauze tops」(まもなく発売予定)/6900円+税
ホワイト・ライトグレー・チャコールグレーの3色展開(写真はライトグレー)
伊東:シンプルでカジュアルな印象ですけど、襟元や袖口に入ったリブの効果もあってデザイン性も感じられるアイテムなので、ONとOFF、両方のシーンで活躍しそうだなと思いました。
藁谷:現在発売中の「dailyシリーズ」よりも厚みがある生地で、単品で着ても存在感が出るんです。今日は、伊東さんの私物と組み合わせた着こなしを提案していただこうということで、普段愛用されている洋服やバッグ、靴などを色々と持ってきていただきました。カジュアルな印象のものから少しエレガントな印象のものまで、さまざまなタイプの服がありますね。最近購入されたものが多いんですか?
伊東:その人によってタイミングは異なると思うんですけど、わたしの場合は40歳を境に、似合う服や着ていて落ち着く服が変わってきました。クローゼットの中を少しずつアップデートし始めたのもその頃で、いまも日々試行錯誤です。今日持ってきたものは、最近買い足したものもあれば数年前から愛用しているものもありますね。
藁谷:わかります! 私も30代半ばで一度そういうタイミングがありました。「カジュアル」が難しくなってきたというか。「大人カジュアル」ってよく聞く言葉ですけれど、年相応にセンスよくまとめるのは結構難しいですよね。伊東さんなりの「大人カジュアルのルール」ってありますか?
伊東:靴とバッグは、年相応の“良いもの”を持つようにしていますね。たとえば、黒い革小物は「大人カジュアル」の演出に一役買ってくれる便利なアイテムで、今日もいくつかお持ちしました。今回は、私なりの“ON・OFF”の着回しを色々とご提案したいと思います!
藁谷:楽しみです。よろしくお願いします!
Coordinate 1./OFF
カラフルなバッグを主役に
伊東:まずはOFF仕様のコーディネートから。ワンピースと同じ中間色のレギンス、足元はサンダルを合わせて、シンプルにまとめました。「The Tastemakers & CO」のストライプ模様のバッグを主役に。私は藁谷さんと同じくらいの身長(156cm)なのですが、小柄な人は重ね着の際に少しでも足首を出すように意識すると、全体のバランスが良くなる気がします。
藁谷:着ていて落ち着くコーディネートです。レギンスは黒やグレーを選びがちですが、こういう中間色も新鮮ですね。
※「gauze one piece」(ライトグレー)以外、全て伊東さん私物
Coordinate 2./ON
透け感のあるパンツ、使えます!
伊東:裾にボンボンがついたカディコットンのパンツをワンピースの裾からのぞかせて。胸元には光沢感がある「la fleur」のブローチ、足元は「MARNI」のベージュの革素材のサンダルを合わせました。パンツの透け感とクラス感がある小物効果で、ONな着こなしとして成立します。
藁谷:この重ね着のバランス、新鮮です。カディコットンは、さらりとしているので、夏の重ね着にぴったりですね。このアイデア、いただきました!。
※「gauze one piece」(ホワイト)以外、全て伊東さん私物
Coordinate3./ON
羽織りものは、大人カジュアルの必需品
伊東:「YAECA」で購入したカシュクールトップスの前を留めずに、羽織りものとして合わせてみました。デザイン性があるので、程よい“よそ行き感”を出すことができます。ゴールドのバングルと「Chloe」の革素材のサンダルで、華やかさもプラスしました。
藁谷:なんだか、全然違うワンピースの様に感じますね! 子どもの授業参観にも着ていけそう。実はカシュクールというアイテムに苦手意識があったのですが、こういう使い方だと違和感がありません。
※「gauze one piece」(チャコールグレー)以外、全て伊東さん私物
Coordinate 1./OFF
ツバ広ハットでクールさをプラス
伊東:トップスとボトムスはホワイトのワントーンでまとめて、「nest Robe」のシャツワンピースをロングカーディガンのように合わせました。日焼け対策になるツバ広ハットは「Sugri」のもので、夏の必需品です。足元は白いスニーカーでOFF仕様にしましたが、きちんと感がある靴を合わせればよそ行きコーデとしても成立します。
藁谷:トップスをパンツにINすることで、全体のバランスが良くなりますね。ワントーンでまとめたことで大人っぽさも出て……。ここまでツバが広いハットを被るのは初めてですが、小顔効果もあっていいですね。
※「gauze tops」(ホワイト)と「work pants」(オフホワイト)以外、全て伊東さん私物
Coordinate 2./OFF
成功の秘訣はワントーン
伊東:存在感のあるシルクパンツを合わせて。これは「TOWAVASE」というブランドのもので、一見すると上級者向けのアイテムですが、全体のトーンを統一すると難なく着こなせます。「BUILDING BLOCK」の黒い革素材のバッグを合わせれば、足元がサンダルでもシックな大人カジュアルになります。
藁谷:このパンツ、とても素敵ですね! OFF仕様のコーディネートとして提案いただきましたが、ちょっとしたよそ行きの着こなしとしても使えそうな……。「gauze tops」の生地が厚めでニュアンスがあるので、きちんと感も出ますね。
※「gauze tops」(チャコールグレー)以外、全て伊東さん私物
Coordinate 3./ON
エレガントな素材を合わせて
伊東:「TENNE HANDCRAFTED MODERN」の存在感のあるシフォン素材のスカートと、「mimi」の黒い革製のバッグを合わせて、よそ行き仕様の着こなしに。トップスとボトムスを同系色でまとめれば、エレガント系のアイテムに馴染みのない方も違和感なく着こなせると思います。
藁谷:スカート単体で見た時は、「私に似合うだろうか……」と身構えましたが(笑)。同系色効果でしょうか、ほどよいエレガンス感でいいですね。同じTシャツで、ここまで印象が変わるとは驚きです。
※「gauze tops」(ライトグレー)以外、全て伊東さん私物
藁谷:いやぁ、月並みな表現ですが、目から鱗でした。
伊東:そう言っていただけると嬉しいです(笑)。
藁谷:合わせる素材や色のバランスのとり方で、ここまで印象が変えられるんですね。今回、6種類のコーディネートを着用させていただいて、「大人カジュアル」を成功させる秘訣が見えた気がしました。
伊東:あくまでマイルールですが……。最初に触れたとおり、靴とバッグは上質なものを。それから「ワントーン」でまとめることで、大人っぽさを演出できる傾向にありますね。
藁谷:ベーシックなアイテムって、奥が深いですね。とてもいい勉強になりました。今日いただいたヒントを、この夏の着こなしに取り入れてみたいと思います!
※伊東さんの私物として紹介したアイテムは、すでに販売が終了しているものもございます。
<HAUの取扱い店舗に関して>
CLASKA Gallery & Shop "DO" 各店、および全国各地のセレクトショップにて順次展開中。CLASKA ONLINE SHOP でも全ラインナップ展開します。(順次発売予定)
卸販売に関するお問い合わせは以下までお願いいたします。
hau_clothes@claska.com
2019年7月6日 公開
撮影:速水真理(CLASKA)
第1回:今の自分に合うパンツ、知ってますか?
〜「work pants」ができるまで
第2回:「頼れるカットソー」、持っていますか?
第3回:欲しいのは、「今の気分」を羽織れるコート。
第4回:信頼から生まれる「HAU のかたち」
第5回:頼りにできる「シャツ」さえあれば。
第6回:大人のための「ゆるワンピ」のススメ。
第7回:着ても脱いでも“絵になる”カーディガンって?
第8回:HAU 流、「マリンスタイル」のススメ
第9回:生地から仕立てた、「夏の服」の話。
第10回:手仕事を感じる服づくりの秘密。
第11回:「特別な日」に着たい服は、こんな服。
第12回:ワンピースの魔法。
第13回:「風景」を想像しながら、装いを考えてみる。
第14回:MY 定番Tシャツ、持っていますか?
第15回:夏のマンネリ対策には、ベストです。
第16回:スタッフ座談会企画|わたしのHAU
第17回:街と暮らしと服の、いい関係。
第18回:HAU exhibition at sabot
第19回:atelier シリーズ、もうひとつの色
第20回:夏休みの準備、はじめました。