はじめまして。HAU デザイナーの藁谷真生です。

本日から、新連載「今着たい服、こんな服。」がスタートします。
一着の服が出来上がるまでのエピソード、時には「うんうん、わかる！」というような服にまつわるお悩みも交えながら、HAU の服が出来上がるまでのストーリーを、この連載を通じてみなさんと共有できたらと思っています。

さて、パンツといえば断然デニム派……でしたが、30 代半ば過ぎからシーズンで1本はデニム以外のボトムスを買い足すようになってきました。

今までは、決まったボトムスが数本あって、そこにトップスでバリエーションをつければOK! 　というスタンスでした（むしろそれが潔くてオシャレ！　と思い込んでいた部分も）。ボトムスはシンプルに、トップスにはちょっとポイントになるデザインやディティールがあるものを合わせて……など、私の中である一定のコーディネートルールのようなものがあったのですが、よりシンプルなトップスを好んで着るように変化していったある日のことです。

「シンプルなトップスにジーンズ？！　あれ？　普通すぎる」

トップスがシンプルな分、ボトムスでバリエーションをつけないと、ただの「普通な人」になってしまう自分に気がつきました。

そこからは白、ブルー、カーキ、ベージュのボトムをクローゼットに徐々に投入。さすがにこれだけの色のバリエーションが揃うとシンプルトップスとの組み合わせも飽きが来ず、しばらくは満足していました。

短めトップスとの組み合わせがお気に入りで、ワンピースとパンツを重ねて着るのも大好き。しかしそこで、さらなる次の壁にぶち当たりました。

「ワンピースとの組み合わせが、なんだか野暮ったい……」

身長が低い分（155cm）、丈の長いワンピースとやや中途半端な太さのパンツとの組み合わせは、バランスの悪さが全面に出てしまうのです。おまけに、そこに妙な主婦っぽさが加わるという悪循環……。３０代前半までは、こんなに上下の組み合わせのバランスの悪さを気にすることなんて全然なかったのに！

短いトップスにも長めのワンピースに合わせても、バランス良く着こなせるパンツはないものか？　その思いが「work pants」をつくる原動力となりました。

生地は、ほんのり光沢感のある高密度のコットンチノ。HAU の服との組み合わせを考え、少し光沢感のある素材を選びました。ナチュラルなトップスと合わせても、”きちんと感”をキープすることができます。

そして、最もこだわったのがシルエット。ワンピースと重ねる時のことを特に考え、ウエスト、ヒップまわりはゆったりと。膝下からはグッと細く、裾まわりをすっきりとさせ、メリハリのあるシルエットに仕上げました。

ウエスト部分はサイドからバックにかけてのゴム仕様。フロント部分の裏側には更に調節可能なコットンテープを。おまけにベルト通しもつけ、安心感のある履き心地と機能性を加えました。