第1回
身近で素朴な山野草や雑草と呼ばれる草、樹木の美しさを伝える活動をしている榊麻美植物研究所の榊さんから、盆栽と暮らす日常の愉しみを教わります。
3月に入ってから、春や初夏のような暖かさの日が続き、植え替えをしてすっきりとした清姫紅葉やコナラ、西洋カマツカ、欅などが次々と芽吹きだしています。
2月までの記録的な寒さからの反動なのか、今年は例年よりも芽吹きが早いように感じます。芽吹いたばかりの葉はとても柔らかくて、種類によっては産毛が生えていて、まるで赤ちゃんのようです。
デリケートな新芽は、春特有の強風や急な冷え込みからの冷風で痛んでしまうこともあるので、展示に出したい植物たちには細心の注意を払っています。(日常的にそだてているものに関しては、そこまで過保護にならなくてもよいように思います。)
冬の間、作りためておいた植木鉢に景色を作っていく植え込み。針金をかけていたり、どっしりと雄々しい盆栽ももちろん生命力があり素敵ですが、私の作りたい景色は、できるだけ作為を感じさせない、自然に近い状態でありたい。時には、タネツケバナやカタバミなどのような、雑草と呼ばれる植物達も一緒に植え込んでしまいます。
鑑賞する際には、根元のあたりまで屈んで見ていただくと、森の中にいるような気持ちになれますよ。種からや挿し木で育てた植物達もいくつかお連れする予定です。
2018年3月23日 公開