第1回
身近で素朴な山野草や雑草と呼ばれる草、樹木の美しさを伝える活動をしている榊麻美植物研究所の榊さんから、盆栽と暮らす日常の愉しみを教わります。
12月に入り、庭の景色もすっかり冬模様。落葉樹は、徐々に葉を落として休眠芽をつけ、春に備えてお休みに入り始めています。山野草はというと、シクラメンやカンアオイ、ヒナソウなど涼しくなってから葉を出し活動を始めている植物達と、反対に地上部が枯れ始め冬の休眠に入る植物達の姿が。
今回は、山野草の冬の越し方についてのお話です。
落葉する樹木なら、春になって温かくなれば枝から花や葉が出てくることが当たり前のように知られていますが、山野草(草物)となると、どのように管理して冬を越すのか、ご存じない方が多いかもしれません。
山野草の中には、年中葉のついている常緑のものと、冬には地上部が枯れて休眠する多年草や宿根草、夏に休眠して冬になると芽吹くものの、おおむね3通りがあります。
まず、常緑のものと、冬に芽吹く植物の管理について。
寒さに強い植物ではありますが、葉や花に強い寒風や霜があたると痛んだり、ものによっては溶けてしまう場合もあります。温室やムロ(発砲スチロールなどで作った簡易の温室)、屋内などで管理をしましょう。冬の間も葉や花をきれいに観賞することができます。(※3月頃から徐々に、屋外の環境に慣らしていくようにします。)
次に、冬に地上部が枯れてしまう植物の管理について。
冬には見た目が枯れ葉だけになっていて、生きているのかどうなのかも分からない状態。しかし、小さなことですがとても大切なポイントがあります。
それは、「枯れ葉は、そのまま春に新葉が出てくるまで残しておくこと」。枯れてしまったのだから、と取り除いてきれいにしてあげようとしがちですが、この枯れ葉が新芽の「お布団代わり」になるのです。
冬の防寒、という役割もありますが、新芽が顔を出し始める3月4月頃には朝晩の冷え込みがまだまだ厳しい日もあり、油断して遅霜に当たってしまうと、せっかく芽吹いた新芽が溶けてしまうことも・・・。その遅霜の害から守るために、枯れ葉で新芽を覆っておくことがとても重要になります。
新芽から葉が出て、しっかりと芽吹いたのを確認できてから、枯れ葉をピンセットなどで取り除いてあげましょう。もちろん、休眠の間も苔や土の表面が乾いたら、お水をたっぷりとあげるのを忘れずに。
2017年12月2日 公開