堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」

第17回:“モビールと・・・” 展のモビール/アパートメントのプレート/焼き菓子/フランス旅の写真

写真・文:堀井和子


3月29日(土)、GALLERY CLASKA で企画展 “モビールと・・・” が始まります。

CLASKA の大熊さんからモビールの課題をいただいて数年、風に揺れる構造やバランスをとることがむずかしそうで、手を付けられずにいました。

オーナメントは、栗の木のツリーで長谷泉さんに制作してもらった、アルミのデザインを応用できそうでしたが。

“まず ひとつ 作ってみよう” とスタートさせ、“ベースはこんな構造も” “カルダーさんが使っていないガラスのオーナメントを” “机の上に置ける小さなモビールと 背の高いモビールも” と、長谷さんと打ち合わせと挑戦を重ねました。

土台になる部分の構造や、オーナメントの組み合わせのヴァリエーションが増えて、何だか視界が開け、俄然面白くなってきたところです。
今回、ひとつずつ違うデザインのモビールが、20点以上並びます。

風や光に反応して、光ったり揺れたりする様子を、ぜひ目の前で確かめていただけたらと思います。
seiken工作所の井上正憲さんに、栗の木のツリーやモビールのオーナメントと同じ、アパートメントの形のプレートを、制作していただくことに。

私の手描きの長閑なラインを生かしつつ、均一な薄さで、きりっと端正なアパートメントのプレートが、仕上がってきました。
(背景は、井上庸子さんが手がけたポスターの文字部分です)

マカロンやショコラをひとつのせてサーヴしても。

正憲さんには、他に、ポスターのコラージュのデザインの陶板も、少しお願いしました。
LE CAFE DU BONBON の久保田由希さんが、吊り下げたら楽しい形の焼き菓子セットを提案してくださいました。

甘いサブレポワン生地と、甘くないサブレ生地の2種類で、三日月や円形、ドーナツ形、文旦ピールの三角形に、紐を通す穴を開けてあります。
ロウ引きの紙のシックなグレーが素敵なパッケージで。

&Anne のワッフルサンドとハニーワッフルは、この連載 10回で紹介しました。
グラフィックデザイナーの若山嘉代子さんと、パッケージデザインに係わらせていただいたお菓子です。

実は、スリーブ箱だけではなく、個包装の細い手描き文字や、栞のシルバーの色合いもぜひ見て欲しいなぁと思っています。
1990年代、車でフランスの地方を廻る旅行中に、フィルムカメラで撮った写真を展示します。

初夏の野生アスパラガスやシェーブルチーズ、菩提樹のお茶、白くペイントしたガラスのウィンドー、ホテルの朝食……。

ギャラリーの柳川さんと相談して、細いグレーの縁のフレームにセットすることに。

のんびりした懐かしい空気に包まれた写真にフレームがよく合って、何だかフワッと嬉しくなりました。

Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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