堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」
写真・文:堀井和子
東京国立近代美術館で開かれている“TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション”展では、好きなアーティストの作品を数多く見ることができました。
写真は、アレクサンダー・カルダーの「テーブルの下」。 モビールの下側(天井に向っていない方)の面の色が、素敵でした。
グレーの台は高さがあるので、下から見上げることができます。
背景に、北代省三さんの「モビール・オブジェ(回転する面による構成)」 (「いいもの」のファイル 連載68回) 、右手にはアンリ・ミショーの作品が見えていて、このコーナー、いいなぁ、カッコいいなぁと見入っていました。
アンリ・マティスの「椅子にもたれるオダリスク」は、見るたびに、緑の色合いの美しさに息を呑むような作品です。
2階の別室では、ジャン(ハンス)・アルプの木版の作品に出合えたのが、とても嬉しかったです。
ジャン・アルプの冊子と本について、 「いいもの、みつけました!」第27回 で書いていますが、この2点は、ポートフォリオ「夢ともくろみ」より、左が「おどけた植物」、右が「アダム以前の人」で、私は初めて見ることができました。
遠くからでも、あ、ジャン・アルプとわかって、見終わった後も、なぜか強く魅きつけられているのが、自分でも面白くて。
7月中旬、千駄ヶ谷の鳩森八幡神社近くの歩道で、花を咲かせたばかりの向日葵と朝顔。
風に揺らぐ爽やかな黄色と青紫色が、初々しく、印象的でした。
滋賀県彦根市の
格子や斜め格子、ストライプの線に、銀色のボールペンでドットを入れたものをコピーして、上から色鉛筆で色を塗った紙片を見て、グラフィックデザイナーの若山嘉代子さんが、色鉛筆ベースの上に、線とドットを重ねる印刷を工夫してくれました。
WAFFLE の文字は、筆描きのものを白く抜いて入れてあります。
ワッフルサンドは冷蔵品で、半透明に白い文字の個包装に入れて、地色が淡い黄色っぽい色のスリーブ箱に。
ハニーワッフルは、透明に白い文字の個包装に入れて、地色がシルバーっぽいグレーのスリーブ箱に。
栞は地色をマットな明るめの銀色にして、スリーブ箱の線のデザインと地図、筆描きの文字の構成で3つ折タイプ。
縦横のプロポーションや紙質、紙の薄さで、雰囲気がぐっと変わることにハッと驚きました。
若山さんに単行本のレイアウト・デザインをしていただいていた時もそうでしたが、多くの言葉を交さないでも、イメージしていたものが、自然なよい表情で仕上がる過程に、ワクワクしました。
ワッフルサンドは冷蔵庫で保存しますが、ワッフルと特製のクリームがしっとりなじんだ風味と食感が格別です。
真夏は、ひんやり冷たいワッフルサンドに、フレッシュなブルーベリーを添えても。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」