sacoche angle 135
17,600円(税込)
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猿山 修さんInterview
今回で3度目となる、 デザイナー猿山 修さんと CLASKA のものづくり。
サコッシュ、 バックパックに続く新作は 「シャツ」。
性別、 年齢、 そして季節を問わず愛用できるシャツが出来上がりました。
写真:野口祐一 (モデル写真) 文・写真:落合真林子 (CLASKA)
Profile
猿山 修 (さるやま・おさむ)
デザイナー。 「ギュメレイアウトスタジオ」 主宰。 1996年より元麻布で古陶磁やテーブルウェアを扱う 「さる山」 を営み、 2019年に閉店。 現在はグラフィック、 空間、 プロダクトまで幅広いジャンルのデザインを手掛けると同時に、 演劇音楽の作曲や演奏にも携わっている。
●Interview:「OIL MAGAZINE/つくる人 Vol.16 猿山修がデザインするもの」 前編・後編
──最初にデザインしていただいた 「sacoche angle 135」、 それに続く 「backpack angle 135」、 そして今回新作の 「cotton shirt angle 135」 が出来上がりました。 構想自体は、 2年程前からあったそうですね。
猿山 修さん (以下、 敬称略):
2022年に 「sacoche angle 135」 をつくったタイミングで 「GALLERY CLASKA」 でギュメレイアウトスタジオの企画展を開催していただいたのですが、 その時くらいから "シャツはどうだろう ?" という思いがあって、 ディレクターの大熊さんにも話はしていたんです。 その後、 色々と話が煮詰まって具体的に図面を引けるくらいイメージが固まったタイミングで、 改めて提案させて頂いたかたちですね。
──そうだったのですね。 ちなみに、 猿山さんは普段からシャツをよく着るほうですか?
猿山:
元々はそうでもなかったのですが、 最近着る機会が増えてきました。 いわゆるきっちりしたスーツに合わせて着るようなドレスシャツは持っていませんが、 開襟シャツはいくつか。 やはり "大人のたしなみ" 的なアイテムとして持っていると便利だなと思っています。
──「cotton shirt angle 135」 をデザインされるにあたり、 何かしらのテーマ設定はありましたか?
猿山:
まず思ったのは、 肩ひじ張らず日常着として親しんでもらえるシャツがいいなということでした。 デザイン面でこだわったのは 「曲線を入れない」 という点です。 水平垂直のライン、 そして 「sacoche angle 135」 や 「backpack angle 135」 に取り入れた、 角度135度の斜めカット。 このシャツは全てまっすぐな線で構成されているんです。
──面白いですね。 全て直線でデザインしようと決めるにあたり、 何か具体的なイメージソースはあったのでしょうか。
猿山:
そこまで強く意識したわけではないのですが、 日本人が古来から親しんできた 「着物」 のような綺麗さや、 そこはかとなく感じる "折り目正しさ" はひとつのヒントになりました。
──意匠として大きなポイントになっている135度のカットは、 衿、 袖口、 そして裾部分に取り入れられています。 衿に関していえば一般的なシャツではなかなか見ない珍しいデザインだと思うのですが、 個性を主張し過ぎずさりげない感じでとても素敵だなと思いました。
猿山:
まずシャツに目が行くというよりは、 着る人によって印象や見え方が変わるものが理想でした。 着こなし方によってきれいめな印象にもなるし、 カジュアルダウンもできるし、 幅広いイメージで着られるシャツに仕上がったと思います。
──程よい身幅と長すぎない着丈もいいですね。 ボトムスに IN しても OUT してもバランスがとりやすそうです。
猿山:
これ以上丈が長くなるとボトムスに入れて着る時にもたついてしまうかなと。 外に出して着る場合も、 これくらいの丈感だと前ボタンを外してジャケットっぽく羽織っても、 だらしない感じにならないと思います。
──背面の背中心には接ぎが入っていますね。 コートやジャケットなど羽織ものでは一般的ですが、 このタイプのシャツでは珍しいなと。 接ぎがあることでジャケット感が出て、 印象的な後ろ姿になっているなと思いました。
猿山:
いいアクセントになっていますよね。 専門的な話になりますが、 背中心に接ぎを入れることで用尺 (1着の服をつくるにあたって必要な材料の量) が通常よりも少なくなるということ、 それから生地を無駄なく使えるという利点もあるそうです。
──ちなみに今回は M (レディースサイズ) と L (メンズサイズ) の2サイズ展開ですが、 女性の場合はあえて L サイズを選んで、 ラフな着こなしを楽しむのも良さそうですね。 ゆったりシルエットのデニムなどとも相性が良さそうです。
──今回のシャツはチャコールグレーに近い 「ブラック」 と、 爽やかな 「サックス」 の2色展開です。 生地の質感もとても気持ちがいいですね。
猿山:
企画を担当していただいた荒井さん (CLASKA オリジナルアパレルブランド 「D」 デザイナー) に提案していただいた 「American cotton broad cloth」 という生地がすごく良かったんです。 経糸と緯糸の色合いが微妙に異なっていることでいい抜け感があって経年変化も優しそうですし、 この生地を使えばきっといいものが出来るだろうと思いました。 色合いに関しては元々黒をイメージしていたのですが、 サックスもとてもいい色味だったので2色展開にすることにしたんです。
──ブラックとサックスブルーで、 使っているボタンの種類が異なりますね。 これにはどういう意図がありますか?
猿山:
最初にブラックに合わせた方のボタンを選んだのですが、 サックスの方にも合うだろうと思って生地に合わせてみたら 「あれ? なんか違和感があるな」 と思って。 同じ型のシャツでボタンを変えるのは贅沢なことだと思うのですが、 そうさせて頂いたことでそれぞれの色味の良さが引き立ったのではないかと思います。
──サコッシュ、 バックパック、 そして今回は猿山さんとのコラボレーションでは初となるアパレル製品。 「135」 という共通のキーワードがボーダレスに展開している感じが面白いなと思うのですが、 性別や年齢、 そして季節を問わず使えるという点もまた、 一つの共通点ですね。
猿山:
確かに。 こういうシンプルなシャツは、 季節を問わず使えますよね。 一度試して気に入っていただけたら、 色違い・サイズ違いでリピート買いしてもらえたら嬉しいなと思います。
──春から夏にかけては一枚でさらっと、 夏場は日焼けやエアコン対策に、 秋以降はニットを重ねて衿をポイントにした着こなしも良さそうです。 ちなみに……気が早いようですが、 135シリーズの次なるアイディアはありますか?
猿山:
そうですね……。 シャツをつくったので、 今度はパンツとかでしょうか? 難しいかな。 財布とかはイメージしやすそうですけどね。 ちょっと考えてみます(笑)。
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