堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」

第5回:リモージュの小さいティーポット、ミルク入れ/クルミ入り田舎パン/PATISSERIE皿/ババールのレシピ本

写真・文:堀井和子


 フランスのリモージュ GDA の小さいティーポットは、注ぎ口から持ち柄までが14cm、2人分の紅茶用です。

 ほんの少し青みがかったグレイッシュな磁器の白が上品な印象で、蓋とポットが合わさる部分が楕円形のデザインなのも面白い。

 朝食の時は、5〜6人分用のアルツベルグの大きいポットを使っていますが、ティータイムの時は、この白い色と丸みを帯びたフォルムが素敵かなぁと。

 ミルク入れはドイツのワルキューレ製。おっとりとしていながら、シンプルで洗練された形が気に入っています。

 ティーポットやカップ&ソーサー、ミルク入れなどは、好きなデザインと使い勝手のものに出合うまでに時間が、いえ、年月がかかりますね。 私は、柄や飾りのない白無地のものが欲しかったので、白の色のニュアンスやすっとしたフォルムにこだわって、じっくり探しました。

 これというものに出合ったら、ずっとその後大切に付き合うアイテムになるので、諦めたりせずに探し続けてよかったと思います。

 クルミ入りの田舎パンを焼きました。

 クルミをたたきつぶして生地に混ぜ、10分間こねてから、発酵させます。

 後から加えるのではなく、初めから混ぜてこねるのは、パンの中の部分が、何とも言えない自然なベージュ色になって、その色をいつも美しいなぁと感じるからです。

 パンをのせたのは、昨年の企画展で作った竹ヒゴのトレー。

 粗熱が取れるまで充分冷ましてから切り分け、冷凍します。

 切り分けたパンをのせたのは PATISSERIE 皿。

 グレイッシュな墨色の手描き文字は、飄々としていながら、どこか楽し気。

 製作したタイミングによって、墨色が幾分濃くパキッとしていたり、グレーに近く優しくなったりしていますが、私は、どちらも好きだなぁ、この繊細に違う墨色のデザインを使うことができていいなぁと今、嬉しく思っているところです。

 クルミ入りの田舎パンは、サンドイッチにしても奥行きのある風味でおすすめです。

 ふと思いついて開いたのは、 LE SANDWICH COMPLET のページ。

 レシピではプチパンを使っていますが、切り分けたパンにマヨネーズを塗って、ツナオイル漬とトマトの輪切り、サラダ用の葉をはさむだけ。

 簡単なレシピですが、ババールの表情も、着ている服や FOOD の澄んだ色使いも素敵で、気持ちがフワッと持ち上がります。

 このレシピブックのタイトルは L’atelier de BABAR “LA CUISINE”。
(1998年 HACHETTE Jeunesse 出版)


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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