堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」
写真・文:堀井和子
フランスのリモージュ GDA の小さいティーポットは、注ぎ口から持ち柄までが14cm、2人分の紅茶用です。
ほんの少し青みがかったグレイッシュな磁器の白が上品な印象で、蓋とポットが合わさる部分が楕円形のデザインなのも面白い。
朝食の時は、5〜6人分用のアルツベルグの大きいポットを使っていますが、ティータイムの時は、この白い色と丸みを帯びたフォルムが素敵かなぁと。
ミルク入れはドイツのワルキューレ製。おっとりとしていながら、シンプルで洗練された形が気に入っています。
ティーポットやカップ&ソーサー、ミルク入れなどは、好きなデザインと使い勝手のものに出合うまでに時間が、いえ、年月がかかりますね。 私は、柄や飾りのない白無地のものが欲しかったので、白の色のニュアンスやすっとしたフォルムにこだわって、じっくり探しました。
これというものに出合ったら、ずっとその後大切に付き合うアイテムになるので、諦めたりせずに探し続けてよかったと思います。
クルミ入りの田舎パンを焼きました。
クルミをたたきつぶして生地に混ぜ、10分間こねてから、発酵させます。
後から加えるのではなく、初めから混ぜてこねるのは、パンの中の部分が、何とも言えない自然なベージュ色になって、その色をいつも美しいなぁと感じるからです。
パンをのせたのは、昨年の企画展で作った竹ヒゴのトレー。
粗熱が取れるまで充分冷ましてから切り分け、冷凍します。
切り分けたパンをのせたのは PATISSERIE 皿。
グレイッシュな墨色の手描き文字は、飄々としていながら、どこか楽し気。
製作したタイミングによって、墨色が幾分濃くパキッとしていたり、グレーに近く優しくなったりしていますが、私は、どちらも好きだなぁ、この繊細に違う墨色のデザインを使うことができていいなぁと今、嬉しく思っているところです。
クルミ入りの田舎パンは、サンドイッチにしても奥行きのある風味でおすすめです。
ふと思いついて開いたのは、 LE SANDWICH COMPLET のページ。
レシピではプチパンを使っていますが、切り分けたパンにマヨネーズを塗って、ツナオイル漬とトマトの輪切り、サラダ用の葉をはさむだけ。
簡単なレシピですが、ババールの表情も、着ている服や FOOD の澄んだ色使いも素敵で、気持ちがフワッと持ち上がります。
このレシピブックのタイトルは L’atelier de BABAR “LA CUISINE”。
(1998年 HACHETTE Jeunesse 出版)
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」