堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」

第3回:棟方志功展/展覧会のカタログ、絵手紙の本/紅梅/白い字のクリアバッグ

写真・文:堀井和子


 2023年11月、竹橋の国立近代美術館で開かれていた棟方志功展で見た、“富嶽頌 王将のようにの柵”。

 富嶽頌は草野心平の詩を主題に制作された板画ですが、この1枚は、墨色の力強いデザイン、欧文のサイン、朱の色が斬新に感じられます。

 昔、渋谷の東急本店8階に棟方志功さんのギャラリーがあって、そこで“東海道棟方板画 原・裾一文字”を見て、棟方志功さんの富士山のデザインが忘れられなくなりました。

 それまでに知っていた表現とは違う、シンプルだけれど迷いがなくて、真っすぐなラインや墨の色が、陽気な印象でした。

 また棟方さんの富士山が見たいと思って、足を運んだので、とても嬉しかったです。

 "萬朶譜”全七柵も、入ってすぐの場所に展示されていました。

 七柵の中でも、松、竹、梅の柵が大好きで、植物の特徴を捕えて、きっぱりとした日本のデザインを構成している連作のスタイルが素敵です。

 光原社に飾ってあった、柏の葉柄のお椀を描いた横長の墨絵も、のびやかで雰囲気があって、心を奪われた一枚です。

 ”原・裾一文字”が掲載されているのは、フィラデルフィアとロサンゼルスで2002〜2003年に開かれた展覧会のカタログ “Munakata Shiko” (左)。
 右は“棟方志功の絵手紙” の本。

 1月後半、外苑前近く、STEINWAY & SONS 前の紅梅。

 今のマンションに越して15年になり、徒歩圏内で季節に必ず見たくなる草木のマップが、ちゃんと頭にインプットされています。

 紅梅というと、ここと熊野神社西側の境内でしょうか。

 冷たい空気の中、凛と咲く濃いピンクの梅の花を見ると、背すじがしゃんとして元気になれます。

 2022年の企画展と ONLINE で、黒の手描き文字のクリアバッグを販売しましたが、白の文字のタイプも制作しました。

 透明なところに白のアルファベットのデザインが浮かんで、中に入れたアイテムを面白く見せてくれます。

 黒い表紙の画集を入れたり、竹ヒゴの Objet を入れたり、いろいろ試しているところです。
 (ONLINE で販売予定です)


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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