堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」
第15回:赤ワインのラベル/マッチのコレクション/古川章蔵さんのお皿
写真・文:堀井和子
フランス中部のオーベルニュ地方の赤ワイン “PUY DE DOME 1885 PINOT NOIR 2022” 。
PUY DE DOME は明るいグレー、PINOT NOIR はビスキュイ系の控えめなオレンジ色。
1885は、渋い金色か茶色がかった色で、アウトラインと繊細な格子で数字を表現しています。
この1885だけ活版印刷というのも興味深いです。
シンプルで洗練されたラベルのデザインが魅力的に感じられました。
ワインの瓶のネック部分を覆う薄い金属シートをカプセルと呼ぶのだそうですが、このワインのカプセルのオレンジ色も、ラベルのオレンジ色と合わせた色で素敵です。
ワインを飲む時は、いつもラベルやカプセルをチェックしているような気がします。
私が好きな風味のワインは、ラベルのデザインも好きなことが多いです。
そしてカプセルに、おやっと思うような粋な色を使っているワインの味わいは、格別だったりします。
とは言え、特別に高価なタイプではなく、家庭料理と合わせるデイリーのタイプの話ですが。
昔のレストランのマッチ。 文字のデザインが面白くて、捨てられずにいます。
煙草は苦手なのに、マッチのパッケージや構造はかわいいと思っていました。
実際にお店に足を運んだのは、カフェ・フィガロとカーサ・ピッコラで、他は行った人からお土産代わりにいただいたりしてコレクションになったような・・・。
しまだ鮨 の文字は、佐野繁次郎さんによるもので、すごく美味しそうで勢いがあります。
シド のカタカナの文字もスリリングでカッコいい。
お店のネームカードと、このマッチのコレクションは、もう暫く仕舞っておこうかと。
古川章蔵さんの直径23cmのお皿は、30年以上前、展覧会の時に買った1枚です。
卵を思わせるような、何とも美味しそうな黄色に、この青い色の取り合わせが斬新に感じられ、手に取って見ていたら、手離せなくなったことを記憶しています。
白磁に引っ搔いたような点と線、銀彩の鉢、呉須のブルーで全面にたくさん算用数字を描いた鉢も使っていますが、ハッとするようなデザインの潔さだけでなく、使い勝手のよさに、ずっと心を動かされ続けています。
今、残念なのが、この黄色と青のお皿を、2枚買わなかったこと。
トーストでも目玉焼きでも、1人1人このお皿でサーヴしたくて、たまらなくなるのです。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」
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