堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」

第14回:新宿御苑の桜/大塚俊孝さんのアルミ作品/CHALKBOYのカレンダー

写真・文:堀井和子


11月末、新宿御苑北西側の桜は紅葉が進んでいました。

まだ緑の葉も残っていて、それぞれの色の重なり具合が見事でした。
葉を落として枝ぶりがあらわになった様子も、目に浸みこんでくるような美しさに感じられました。

御苑の千駄ヶ谷門を入って左手のあたりは、ものすごく高さのあるユリノキやケヤキが、おおらかに枝を伸ばしていて、人も少なめです。

森の空気を胸いっぱい吸った気持ちになれる、特別な場所かもしれません。
プレイマウンテンのウィンドー越しにアルミの作品を見たのは、11月中旬頃。

それから2週間くらい、ウィンドー越しの好奇心をふくらませていました。

お店に入って、作品の値段や作者について尋ねた時は、縦長の大きいサイズのこの objet を買うことに、心が決まっていた気がします。
長径39cm 高さ40cm 、アルミのクールな銀色と、飄々とした歪みがカッコいい。
今までに見たことがない、面白い存在感だなあと思いました。

京都岩倉の miepump coffee shop のオーナー、大塚俊孝さんの作品だそうです。

ウィンドーの向こうには、もう1点、小さいサイズで楕円のカゴ状のフォルムのものが並んでいて、こちらは何かを入れることも考えられるタイプでした。

我家に抱えて帰った縦長の方は、何かを入れないで見たいタイプかと。
歩いていて、ふと目に入ってくるという出合いかたが、私は気に入っています。

予備知識がないまま、きゅっと魅きつけられるのが、楽しいような・・・。
2025年の CHALKBOY のカレンダー “ANIMAL BUDDIES” 。

動物と人間の躍動感溢れる描写は、“かわいい” とは違う、ちょっとユーモラスで刺激のあるタイプ。

手作業による活版印刷で仕上げているそうですが、濃紺と金色の面の凹凸が、触れた指先で確かめられて、なるほど、と納得します。

活版印刷だから、こんなことができるんだと微笑んでしまうのです。

Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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