堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」

第12回:Back to the 80s 好きな曲/英語辞典

写真・文:堀井和子


高校時代は FEN の全米ヒット40を、大学時代はハードロック、プログレッシブロックにはまって、クィーンやエアロスミスのファーストアルバムを買って、聴いていました。
ヴァン・ヘイレンはデビュー当時からのファンで、初来日東京公演、4回全部行ったくらいです。

1984年から3年間アメリカに住んでいましたが、毎日のように MTV のチャンネルに合わせ、プロモーションビデオを観ていました。

80年代によく聴いていた好きな曲というと、バグルスの “ラジオスターの悲劇” 、ネイキッド・アイの “ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME” (僕はこんなに)、デフ・レパードの “フォトグラフ” … etc 。

ここ20年間くらいは、ヴァン・ヘイレンやエアロスミス、デフ・レパードのベスト盤や、エイジアの CD を聴くことが多かったです。

猛暑の8月、TV 番組の街や FOOD の紹介でバックに流れている曲に反応して、ミュージシャンの名前を何とか思い出し、 CD を昔 買っていたかもしれないと段ボール箱を開けて、“the Collection” を取り出しました。

ニック・カーショーの “Wouldn't it Be Good” と “the Riddle” 2曲は、プロモーションビデオのストーリー仕立ての映像がカッコよくて、何より、コード・チェンジと歌詞の音への乗せかたが独特で印象的でした。

“the Collection” は、ヒットした先の2曲以外にも、くり返し聴きたくなる曲がいくつも。

CD のクレジットを見ると、1曲以外全てニック・カーショーになっているので、作曲も作詞も本人、おまけにヴォーカルの他、リードギター、ベース、キーボードもこなしていると知りました。

You Tube で1985年のライブ AID 、ウェンブリー・スタディウムでのギグをチェックして、ギターをしっかり弾きながらのヴォーカルだったことに、かなり驚きました。
MTV を観ていて、リードヴォーカルの人は本当にしっかり弾いたりしない演奏スタイルが多かったかなぁと。

ライブの演奏は、プロモーションビデオとはまた別の、ロック寄りのパフォーマンスに感じられましたし、音が CD 以上に決まっていたことで、ぐっと引き寄せられたような気がします。

コード・チェンジもリリックも編曲も、今聴いて、すごく新鮮で面白い。

You Tube では、プロモーションビデオ、ライブの演奏、TV やラジオ局のインタヴューと次々項目が上がってくるので、チェックしているうちに、英語のヒアリングにも興味を持つようになりました。

“the Riddle” や “You Might” の歌詞で、韻を踏むにしても、不思議で自由な words を組み合わせていることが気になって、インタヴューで、そのことについての会話を聴きこむことに。

インタヴューはヘッドホンの方が集中できるので、ヘッドホンをして何回か聴くうちに、 words を聴き分けられるようになり、わからない単語やイディオムがあっても、流れが入ってくる感じになりました。
一語一語訳するのではなく、流れをそのままという聴きかたを覚えました。

語学って、目的があると、勉強したくなるんですね。 そのうちに、もう少し進歩できるといいなぁ。

アルバムが発表された当時のライブやインタヴューを今、 You Tube でチェックできて、音や words を新鮮に受けとめるなんて、瞬きをくり返しているような感覚です。

ニック・カーショーは今66歳、生き生きと楽しそうに活動を続けていて、オーケストラをバックに演奏したギターの音がハードロックっぽくてインパクトがありました。

現代英語基礎語辞典 杉田敏著

イディオムを学びたくて最近買った一冊。
ブルーと墨2色の文字でレイアウトもすっきり、わかり易く工夫してあります。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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