暮らしの中にある名品の、知られざる良さを掘り下げていく名品図鑑。毎月一品公開。
写真:本多康司 文・編集:島田奈津子
見
ているだけで元気が湧いてくる凧。 明るい未来を呼び寄せてくれそうな凧。
── 一般的な凧の概念を覆す、力強くグラフィカルな凧は、創業明治40年、長崎県の伝統的な凧作りを受け継ぐ唯一の店、「小川凧店」の長崎凧。
長崎凧は西暦1600年前半にオランダ船によって伝えられたもの。 伝統色として凧に用いる赤・青・白は、オランダ国旗と同じ色。 その図柄は数百種類あるが、小川凧店では50種類ほどを独自に製作している。
凧の模様は、描くのではなく、染色した和紙を切り貼りして作る。 じっと見ていると吸い込まれそうな、強さと温もりのある色合いは、店主の小川さんが長崎の空にふさわしい色を追い求めてたどりついた、独自の色 。 (・・・その配合は「企業秘密」だそう!)
写真の凧の名は「日一」。 真っ赤な日の丸と一の字でできた、おめでたい凧だ。 このほか、 線が美しく交わった「十の字」、 くちばし部分に金紙が使われた「波に千鳥」も、CLASKA で人気の名作たち。
ところで、長崎凧には「けんか凧」という別名もあり、空高くあげた凧を絡ませあい、相手の凧糸を切って遊ぶという楽しみ方があるという。 空の上で力強く戦いあう凧 … 。 想像すると、力強いデザインにもうなずける。
日常の中で“凧あげ”はできなくとも、インテリアとして壁や棚に掲げることで、その優美さと力強さを楽しみたい。
⇒ 小川凧店 : 長崎県の伝統的な凧作りを受け継ぐ唯一の店。 店内は天井から壁までハタ(長崎では凧のことをハタと呼ぶ)で埋まる。形、色、絵柄ともさまざまなハタが並ぶ様子は、文字通り圧巻。
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小川凧店 | 長崎凧 / 日一
3,080円
素材:竹、和紙
製造:日本
サイズ:60×65cm
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