HAUのたね
写真・文:藁谷真生(HAU デザイナー) イラスト・挿絵:natsume
道端に咲く草花の芽吹く姿に、少しずつ春の訪れを感じます。
身体と心が躍動するこの時期は、冬に出来なかったことに挑戦したい前向きな気持ちが生まれ、そんなささやかな心の動きを大切にしたいと思います。
今年は家の中に草花を絶やさないように心掛けたいと思うようになってから、自然と花瓶に目が行くようになりました。お花屋さんで素敵なお花に出会っても家に帰ってきたらちょうど良い花瓶がなく、大きなグラスでその場しのぎ...なんてこともしばしば。
そんな時、たまたま入ったアンティークの雑貨屋さんで見つけたのがこの花瓶。
透明のガラスで表面がボコボコと丸い柄模様。上の方にはゴールドの塗装がポイントになっています。おそらく用途はピッチャーだとは思うのですが、大きさも雰囲気もバッチリ好み。そして最終的にはトルコのものという店主のお話しを聞き、一点物の出会いを大事に!とまんまと衝動買いしてしまいました。
最近ではインターネットで便利にモノが買える時代ですが、その瞬間にしかないリアルなお買い物は思い入れもあって愛着がわきますよね。インターネットで便利に計画的に。片やその瞬間のワクワクを大事に心の赴くままに。春第一弾のお買い物はそんな偶然の出会いから我が家にやってきたトルコの花瓶のお話しでした。
トップスを選ばず、一本持っていると便利なフル丈のストレートパンツ。綿麻にストレッチを効かせたギャバジン(目の詰まった丈夫で緻密な生地)で作ったパンツが、この春新たな定番アイテムとして仲間入りしました。
ディディールやステッチ使いをワークテイストに仕上げた太すぎず、細すぎずの程よいゆとり。そして中肉素材のしっかりとした生地はシルエットをキープし、足のラインを拾うことなく全体をきれいに見せてくれます。右後ろポケットに施したハンマーループは、ペインターパンツのディティールをヒントにあしらったもの。シンプルなトップスを合わせても、こんなちょっとした遊び心が全体のコーディネートを引き立ててくれます。
今回は、これからの季節にもちょうど良い knit tops "homme" のサックスと組み合わせてみました。
生地の染色にゆっくりと時間をかけているため、たくさん洗っても縮む心配のないタフなパンツは、育てるように長く履いて頂きたい自信作。新たな春のはじまりに、気持ちもキリッと上向きになるパンツをぜひ新調してみてはいかがでしょうか?
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◎ pants "painter"
◎ knit tops "homme"
◎ SHOES LIKE POTTERY [LOW] / ホワイト
*商品名を掲載しているアイテム以外は、すべて私物です。
Profile
藁谷真生 Mao Waragai
デザイナー。1981年、東京生まれ。エスモード・ジャポンを卒業後、アパレルメーカーにて約8年にわたり数ブランドのデザインを担当。2011年、自身のブランド「BLANKET(ブランケット)」を設立。2019年より、CLASKA発のアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナーを務める。コンセプトは「大人のための日常着」。「HAU」は、ポリネシア諸語のひとつであるマオリ語で、「風、呼吸、生命力」などを意味する言葉。
Instagram @hau_clothes