暮らしの中にある名品の、知られざる良さを掘り下げていく名品図鑑。毎月一品公開。
写真:本多康司 文・編集:島田奈津子
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っと伸びた口先、美しく輝く胴体。 ── 東屋の銅之薬缶には、堂々たる風格がある。
デザインは、キリンラガービールのラベルデザインで知られるアートディレクター 渡邊かをる氏。 世界中からやかんを集め『麻布やかん組合』を設立、『やかんの本』まで出版しているほどのやかん好きだ。
そんな、やかんに並々ならぬこだわりを持つ渡邊氏が手がけた銅之薬缶は、キリッと引き締まった口先が持ち味。 そのため湯を細く注げ、使い勝手がよい。
素材は優れた熱伝導率を誇る銅。 火にかけると、底だけでなくやかん全体に熱が伝わり、湯が沸くのが早い。 銅には抗菌・除菌作用があり、塩素を分解するので、湯がまろやかに。
表面加工をしていないため、自然な酸化で、使い込むほどに飴色に変化していくのも特徴。 キッチンで、食卓で、日々使いながら、変化していく様を楽しみたい。
⇒ 東屋 : 創業平成9年 (1997年) 。 信頼できる国内の手工業者と共同し、生活のための良質な道具を生み出してきた。 食器から台所用品、収納道具に家具に至るまで、扱う道具は多岐にわたる。
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