HAUのたね

Vol.48 酒井駒子さんの本/真っ白な生地で作った冬のフードコート

写真・文:藁谷真生(HAU デザイナー) イラスト・挿絵:natsume


本屋さんでふと目に留まった「森のノート」という本。

まるで夢の中の世界に迷い込んだような不思議な感覚に引き込まれてしまう酒井駒子さんの本は、子供達が小さなころはもちろん、むしろ当時は私自身のイチオシとして積極的に読んでいたことを今でも覚えています。
「よるくま」「ビロードのうさぎ」など、子供が小学校に上がる前までは何度も読み返したお気に入りの2冊は今も大切に我が家の本棚に。

最近の読書と言えば、ビジネス本やマインドセットのための本など、生活や仕事をより良く、さらには効率的に進めるためのいわゆる “how to 本” が自ずとメインとなっていたのですが、本屋さんで導かれるようにして手にしたものが久しぶりの酒井駒子さんの本でした。

効率的とは真逆にあるゆったりと物語に浸る時間。
忙しい毎日の中ではつい忘れがちになってしまいますが、この冬休みは心をリセットする気持ちでこの本の物語に浸ってみることにしようと思いました。

皆さんはどんな冬休みを過ごしますか?
忙しさで普段出来なかったこと。小さなことでも挑戦してみるとなんだか新たな発見があるかもしれませんね!
ということで、今年の連載はこれで最後となります。

今年も「HAUのたね」を読んで下さりありがとうございました。
気持ち新たに、豊かな新年をお迎えくださいませ。

日常の片隅にひっそりと佇むお話の数々。 それぞれのストーリーに付けられた題名も魅力的です。

まるで粉雪のような、真っ白な冬のフードコート

ブランドスタート以来好評をいただいている coat "canvas" と同型のパターンを用いて、冬から初春にかけて活躍するフードコートを作りました。
「着心地が軽く、動きやすいこと」、「カーディガン感覚で無造作に羽織ることができること」を特に意識してたどり着いたデザインは、少しずつアップデートしながら作り続けている HAU の代表的なアイテムの一つです。

そんな人気のかたちを冬にも!ということで、ボタンをキュッと小さくし、温かみのある微起毛が特徴のモールスキンという生地を選んで作りました。
最終工程で特殊な仕上げを施すことによって生まれた、まるで粉雪のような滑らかさのある生地で作った1枚仕立てのコート。

今回は、中の装いをあえてダークトーンでまとめることで、真っ白なコートが自然と映えるメリハリのあるモノトーンコーディネートを考えてみました。
そこにシルバーやゴールドなど、光のあるアイテムをちょこっと加えるだけで一気におしゃれな装いに◎

新年にかけて人に会う機会が多くなるこれからの時期。
見た目も心も晴れやかになる真っ白なコートはいかがでしょうか?

小物はゴールドやシルバーで華やかに。 中に合わせたジョガータイプのパンツは pants "slack"。

ボタンはあえて小さくすることで、ほんのりと女性らしい繊細な印象に。

暗くなりがちな冬の装いも真っ白なコートでパッと明るく。 色は温かみのあるアイボリーと深みのあるネイビーの2色展開です。

<< 今回紹介したアイテム >>
coat "canvas" moleskin
pants "slack"
gungulparman / [TRAP] スパンコール / oval(ブローチ) ゴールド

*商品名を掲載しているアイテム以外は、すべて私物です。


Profile
藁谷真生 Mao Waragai

デザイナー。1981年、東京生まれ。エスモード・ジャポンを卒業後、アパレルメーカーにて約8年にわたり数ブランドのデザインを担当。2011年、自身のブランド「BLANKET(ブランケット)」を設立。2019年より、CLASKA発のアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナーを務める。コンセプトは「大人のための日常着」。「HAU」は、ポリネシア諸語のひとつであるマオリ語で、「風、呼吸、生命力」などを意味する言葉。
Instagram @hau_clothes


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