HAUのたね
写真・文:藁谷真生(HAU デザイナー) イラスト・挿絵:natsume
先日仕事で愛知県を訪れた際に、以前から行ってみたかったアートブックや写真集を中心に扱っている本屋さんに行くことができました。
実際には小説や ZINE など、手に取りやすい本もたくさん扱われていて、一貫してきちんとテーマをもってセレクトされている内容が面白く、大雨にも関わらず入ってみると店内にはたくさんの人がいることにもびっくりしました。
そこで目に留まったのが、とあるフランス人アーティストの作品集。
ご自身の生活の一部となっている庭仕事から見えてくる風景や草花の絵が、グレーの鉛筆やカラフルな色鉛筆で楽しく描かれている、彼女の絵日記を垣間見ているようなどこかホッとする作品集でした。
日々の暮らしからのインスピレーションが柔らかく描かれている女性ならではのドローイング集は、植物の隣のページにコーヒーカップの絵がレイアウトされていたり、人物の隣に色紙のコラージュが出てきたり...。
そのちょっとしたセンスあるユーモアにも思わず惹かれてしまい、極力荷物を増やしたくないという思いもありましたが、いつもと違う土地での出会いとひらめきを大切に!と購入◎
中の紙もクラフト紙とアイボリーの紙が交互に綴じられていて、良い意味できれいにまとまり過ぎていない、より作り手の想いが伝わる仕上がりが素敵でした。
何でもない毎日も、自分の捉え方次第で景色が変わる日常の風景。
改めて自分の身近なものやことにも目を向けていこう。
そんな大切なきっかけにもなった本との出会いでした。
素朴な表情のあるネップ裏毛で、胸元のラウンド切り替えが特徴の長袖プルオーバーを作りました。
素材はネップ糸を度詰めで編み立てたミニ裏毛。
ネップというとややカジュアルな印象ですが、こちらはよく見ると細かなネップが散りばめられている程度のちょうど良い塩梅のもの。
“味わいのある表情”という表現がぴったりかもしれません。
裏毛のスウェットというと、今まで出会ってきたものはシンプル過ぎるが故に、いつのまにか寝巻きになってしまうという落ちもしばしば。
切り替えや袖口のギャザー、裾に施したラウンドカット、そしてシルエットがきれいなパターンなどなど、デザイン性やちょっとした工夫を加えるだけでグッと存在感のある一着に仕上がりました。
今回は、ビジュアルカタログ の中でご紹介したスタイリングを実際に着てみることに!
個人的にはこのコーディネートは撮影時から絶対に着たいと思っていたお気に入りの組み合わせ。
リラックス感がありながらもチャコールの中にピンクのインナーがドキッと効いていて....。
更にカタログでよーく見てみると髪の毛にはピンクのベルベットのリボンが!
こんな風に、インナーにタートルネックを重ねて色の組み合わせを楽しんでも良し、一枚で着ても良し。
ガシガシ洗える嬉しいコットン素材のスウェットは、インナー次第では冬まで着用頂ける万能アイテムです。
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◎ tops "cotton nep"
◎ turtleneck "frais"
◎ pants "slack"
*商品名を掲載しているアイテム以外は、すべて私物です。
Profile
藁谷真生 Mao Waragai
デザイナー。1981年、東京生まれ。エスモード・ジャポンを卒業後、アパレルメーカーにて約8年にわたり数ブランドのデザインを担当。2011年、自身のブランド「BLANKET(ブランケット)」を設立。2019年より、CLASKA発のアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナーを務める。コンセプトは「大人のための日常着」。「HAU」は、ポリネシア諸語のひとつであるマオリ語で、「風、呼吸、生命力」などを意味する言葉。
Instagram @hau_clothes
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