ANDO GALLERY DIARY 2025
2,970円(税込)
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「ANDO GALLERY CALENDAR」 と 「ANDO’S GLASS」 でおなじみのアンドーギャラリーがつくった 「ANDO GALLERY DIARY」。
スケジュール管理をデジタルで行うことが主流になりつつある今、 ダイアリーをつくった理由とは?
デザインを担当したアートディレクターの葛西薫さん、 アンドーギャラリーの安東孝一さんの二人に話を伺いました。
進行は、 CLASKA ディレクターの大熊健郎が担当します。
※本記事は2023年に公開したものです。
写真:川村恵理 編集・文:落合真林子 (CLASKA)
Profile
葛西薫 (かさい・かおる)
アートディレクター。 文華印刷、 大谷デザイン研究所を経て、 1973年サン・アド入社。 代表作に、 サントリーウーロン茶、 ユナイテッドアローズ、 虎屋の長期にわたるアートディレクションなど。 映画・演劇の宣伝制作、 パッケージデザイン、 ブックデザインなど活動は多岐。 著書に 『図録 葛西薫1968』 (ADP)。 東京ADCグランプリ、 毎日デザイン賞、 講談社出版文化賞ブックデザイン賞など受賞。
Profile
安東孝一 (あんどう・こういち)
プロデューサー。 1984年に 「アンドーギャラリー」 設立。 アート・建築・デザインのプロデュース、 オリジナルプロダクトの開発を行う。 これまでに発表したオリジナルプロダクトは 「ANDO GALLERY CALENDAR(2002年〜)」「ANDO’S GLASS(2014年〜)」。 主な著作に 『MODERN art, architecture and design in Japan』 (六耀社)、 『インタビュー』 (青幻舎) など。
Interview:「OIL MAGAZINE/つくる人 Vol.18 夢を見る人」 前編・後編
第3回
デザインの秘密
CLASKA 大熊 (以下、 大熊):
改めて、 ダイアリーの構造やデザインについてお話を伺いたいと思います。 どのようなつくりにするかを考えるにあたり、 たくさんの商品をリサーチされたそうですね。
安東孝一さん (以下、 敬称略):
そうですね。 漠然と 「ど真ん中に行きたいな」 という気持ちはあったのですが、 正直どこから手をつけたらいいかわからないくらい、 サイズも中身も様々な種類のものがあるじゃないですか。 カレンダーの時はデザインのことで葛西さんと議論になることはなかったのですが、 今回はそれとは真逆でたくさん衝突しました。
葛西薫さん (以下、 敬称略):
なるべく多くのリピーターを獲得したいし、 毎年デザインを変えるわけにもいかない。 だからとにかく最初が大事だという思いもあり、 ものすごく慎重になりました。 全体の構成もそうですが、 罫線の太さや幅についてなど、 デザイン面でも本当に隅から隅まで頭を悩ませました。
大熊:
ちなみに、 インデックスはどなたの案だったんですか?
安東:
葛西さんです。 ストレスなくパッと開けるようにしたい、 ということで提案してくださいました。
葛西:
これまでにインデックスタイプのダイアリーを色々見ていますけど、 実は 「いいな」 と思ったことが全然ないんです。 機能的ではあるのですが、 見ていて気持ちの良いものではないな、 と。 だからインデックスのデザインにはかなりこだわりました。
大熊:
数字で表記されているから一目瞭然というか、 わかりやすいですよね。
葛西:
カレンダーのデザインに合わせるなら英語表記にした方がいいのかなと考えたりもしたのですが、 使い手の立場になって考えるとやはり数字表記のほうが使いやすいだろうなと思いました。 格好つけるところと実用性重視の間を行ったり来たりしながら、 デザインを固めていった感じです。
大熊:
安東さん曰くこれまでにないくらい葛西さんと衝突したということなんですけども、 具体的にはどういう部分で?
安東:
まずは表紙です。 表紙の案を色々出して頂いた時、 案の中のひとつにアンドーギャラリーのロゴマークを型押ししたものがあったんですね。 これはまずいと思い、 「マークを入れたパターンは無しにしてください」 と、 結構強めにお願いしました。 ちなみに、 このロゴマークは2008年にアンドーギャラリーをつくった時に葛西さんがデザインしてくださったもので、 僕はマークとしては世界一かっこいいと思ってるんですよ。
大熊:
でも、 まずいんですか?
安東:
カレンダーをつくった時、 「デザイナーの名前ではなく、 デザインや機能で選んで貰いたい」 という意図で、 葛西さんの名前もアンドーギャラリーの名前もかなり控えめに入れたんです。 ダイアリーに関しても同じ思いで臨んだので、 表紙にマークはまずいだろうと。 戦略が変わってしまいますから。
大熊:
なるほど、 そういうことですね。
安東:
こういう理由も含めて、 葛西さんに 「ロゴ入り案はやめてください」 とお伝えしたのに、 次の打ち合わせの時には他の案が全部無くなって、 ロゴ入り案だけに (笑)。 それを見た時、 これは僕が飲み込むしかないんだなと観念しました。 今となってはこれで良かったなと思っているんですけどね。 改めて葛西さんに伺いたいんですけど、 なぜロゴ入りを推したんですか?
「ANDO GALLERY DIARY」の表紙に入った、 アンドーギャラリーのロゴマーク
葛西:
手帳売り場にいくと、 色々なブランドのものが並んでいますよね。 「使いやすそうだな」 と思って頂くことはもちろんですが、 購入の決め手というか後押しになる "保証" みたいなものがあった方が、 商品として強いだろうと思ったんです。 実績としてロングセラーになっているカレンダーが既にあるわけですから、 「あのアンドーギャラリーだ」 と思ってもらえるような仕掛けがあると、 後々生きてくるんじゃないかと。
使い方は自分で決める
大熊:
ウィークリースケジュールの対向にあるフリーページは、 アイデア次第で色々な使い方が出来そうですね。
葛西:
そうですね。 薄い罫線を入れたのですが、 本当は白紙でもいいかなと思っていたんですよ。 罫線が入っていると何となく 「字を書かなきゃ」 と思ってしまうでしょ? それが嫌で。
安東:
この罫線はだいぶ薄くて主張がないので、 文字を書いてもいいし、 絵や図を描いてもいいと思わせてくれる自由さがあると思います。 実は当初、 葛西さんはさらに一段階薄いものを希望されたのですが、 僕の方で印刷ミスに思われたら怖いなという思いがあってこの濃さになりました。 最初は 「薄くて見えないんじゃないか?」 と心配していたのですが、 確かに、 罫線を薄くすることで使う人の自由度が高くなるな、 と。 これは大きな発見でしたね。
葛西:
人それぞれに都合があるから、 全体的になるべく白紙に近い状態で、 自分仕様にカスタマイズできるものにしたいなと思いました。 デザインに関しては自分なりに100%の力を出したと思っているので、 あとは使ってくれる方に託したいなという気持ちですね。 まっさらな状態から使い手の個性がだんだんと積み上げられていくような、 自由なダイアリーができたと思います。
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