写真：本多康司　モデル：カイノユウ　ヘアメイク：SAKURA
スタイリング：荒井菜穂 （CLASKA）　編集：落合真林子 （CLASKA）

数シーズンにわたってつくり続けている定番服を眺めてみると、 "素材との幸せな出会い" がきっかけになって生まれたものがとても多いことに、 改めて気がつきます。

はっとさせる魅力を持つ素材や生地、 あるいは感動の肌触りと出会ったことで一気に視界が開けていく感覚を体験することは、 「D」 の服づくりにおける喜びの一つ。

いい素材に支えられている服はデザインがシンプルでもどこか独特の存在感があり、 時代や流行に関係なく求められるものに育っていく……。 そんなことを実感する日々です。


─「D」 デザイナー　荒井菜穂

Brand Profile
D （ディー）

素材とデザインの背景を大切に、 長い時間をかけて心と体になじんでいく "マイ・ワードローブ" をお届けする CLASKA のオリジナルアパレルブランド。 自分自身をチューニングするような感覚で身に纏う、 大人のための服をお届けしています。

Instagram：@d_by_claska

Designer's interview：「つくる人 Vol.3」

D-basics SS 01／
Rib-knit cardigan
畦編みのカーディガン （2023〜）

いい素材に出会った時、 様々なイメージが一気に膨らんでわくわくが止まらなくなることがあります。 このカーディガンに使っている糸と出会った時もそうでした。
ひと目ひと目に大きな存在感を持つこの糸の魅力を味わえる、 シンプルな服をつくりたいと思ったのです。
私自身、 カーディガンを着る時は前を開けて羽織る、 あるいは釦を一つだけ留める着方が多いのですが、 そういった自分の日常の使い方をヒントに一つ釦のデザインに仕上げました。

カーディガンの中に着たカットソー：コットンスーピマテレコハイネック / ホワイト　ボトムス：コットンボイルのキュロットパンツ / ホワイト　その他私物　モデル身長 170cm

D-basics SS 02／
Cotton milled sleeveless dress
コットンフライス ノースリーブワンピース （2022〜）

シンプルな中に、 服の構造 （＝デザイン） が視覚面のみならず機能面にも影響しているような服を、 美しいと感じます。
「大人が上品に着ることができるカットソー」 がテーマのシリーズから生まれたシンプルなワンピースは、 生地の伸縮性を生かした直線的な I ラインのシルエット。
肩でタックを取ることにより、 気になる胸周りや脇周りを目立ちにくくしました。

靴：私物　モデル身長：170cm　

D-basics SS 03／
Simple linen blouse
リネンのシンプルブラウス （2018〜）

つくり続けて今年で7年目。 毎年多くの方に愛用いただいている、 「D」 の顔と言っても過言ではない一着です。
身に纏うと気持ちが弾んでお出かけが楽しくなる……そんなブラウスがつくれたら、 という思いから生まれました。
麻100％。 張り感の少ない柔らかな肌触りも魅力の一つですが、 シンプルだけど1枚で様になる独特の存在感こそが、 長年にわたって支持をいただいている秘密なのでは？　と思っています。

ボトムス：薄地ロングスカート / ブラック　モデル身長：170cm　

D-basics SS 04／
Linen 100 T-shirt （Frill）
リネン 100 Tシャツ ＜フリル＞ （2014〜）

麻100%のジャージー生地との出会いから生まれた、 大人が上品に着られる "カジュアル過ぎない" T シャツ。
麻素材の光沢感と落ち感が上品な雰囲気を演出しますが、 落ち感があるということは同時に身体のラインを拾いやすいということでもあります。 それを解消するためにサイズ感をゆったりめにして、 裾に向けて広がる A ラインのシルエットに仕上げました。
文字通り、 生地の特徴を最大限に生かしてデザインに落とし込んだ一着です。

ボトムス：薄地ロングスカート / ブラック　その他私物　モデル身長：170cm

D-basics SS 05／
Polo neck vest with ribbed fabrics
畦編みのポロネックベスト （2023〜）

衿付きのブラウスやカットソーに合わせる丸襟・Vネックのベストはよく見るけれど、 衿のないシンプルなインナーに合わせる衿付きのベストは意外と無いかもしれない……と思ったことがきっかけで生まれた一着。
ざっくりとした糸の編み目の動きがさりげなく映えて、 服のデザインの一部になっています。
さりげない中にも、 しっかりとした存在感を放つベスト。 春先や季節の変わり目に大活躍する、 頼れる相棒です。

中に着たカットソー：コットンスーピマテレコハイネック / ホワイト　ボトムス：リネンコットン イージーパンツ / ホワイト　靴：SHOES LIKE POTTERY ［HIGH］ / ブラック　その他私物　モデル身長：170cm

D-basics SS 06／
Linen twill easy pants
リネンツイル イージーパンツ （2022〜）

"盛夏に1本は持っていたい、 着まわしの効く便利なパンツ" がテーマ。
ウエストまわりは紐で調節でき、 ファスナー開きのないラフなつくり。 麻ならではラフな雰囲気の中に程よい光沢感と生地の厚みを備えており、 カジュアル過ぎない印象にまとまります。
背が高めの方はクロップドパンツ感覚で、 低めの方はフルレングスのワイドパンツ感覚で……。 着こなしの自由度が高いのも、 人気の秘密。
どんな気分や着こなしも受け止めてくれる、 懐の深いパンツです。

トップス：コットンファインスムスノースリーブ / ネイビー （3月上旬発売予定）　その他私物　モデル身長：170cm

D-basics SS 07／
Linen 100 T-shirt （Drape）
リネン 100 Tシャツ ＜ドレープ＞（2015〜）

「リネンTシャツ ＜フリル＞ （5月上旬発売予定）」 の袖口デザイン違い。 2015年の販売スタート以来、 少しずつかたちをアップデートしながらつくり続けている商品です。
もしかしたら多くの方に共感いただけるかもしれませんが、 私自身、 年齢を重ねるにつれて T シャツに対して求めることが増えていきました。
身体のラインを拾い過ぎないサイズ感がいい、 カジュアルだけど上品さも欲しい……等々、 様々な課題をクリアしてくれる生地との出会いから生まれた、 夏の定番 T シャツです。

ボトムス：ウェザータックパンツ / ライトグレー （3月上旬発売予定）　その他私物　モデル身長：170cm

D-basics SS 08／
Cotton linen tweed cardigan
コットンリネンツイードカーディガン （2024〜）

電車やオフィスでの冷房が身体に堪える夏、 さらっと脱ぎ着できて持ち運びにも嵩張らない素材の羽織物は、 私にとって必需品です。 釦が多いデザインにしたことで、 羽織物としてはもちろん、 前を全て留めてプルオーバー感覚でも着ていただけるものになっています。
素材は編地自体に表情のあるものを選びました。 綿麻素材ならではの素朴な雰囲気と相まって、 目にも肌にも心地よい一着に仕上がっています。

ボトムス：ウェザータックパンツ / アイボリー （3月上旬発売予定）　モデル身長：170cm

D-basics SS 09／
BALI cotton linen cardigan
BALI コットンリネンカーディガン （2021〜）

商品名にある "BALI" は、 糸の名前に由来するものです。
たとえば暖かい季節にバリ島へ旅をして、 ノースリーブのワンピースにサンダル、 そしてこんなカーディガンをさらっと羽織って海辺を歩く……。
この糸でつくろうと決めた時、 盛夏に羽織るカーディガンとしてのイメージは頭にありましたが、 そのイメージに "BALI" という糸名が想起させるイメージも加わることで、 かたちになったカーディガンです。
ラフな雰囲気は欲しいけれど、 決してカジュアル過ぎないように。 肌の見え具合やサイズ感のメリハリ、 バランスを見ながら大人っぽさも感じられるデザインに仕上げました。

ワンピース：コットンフライス ノースリーブワンピース （5月中旬発売予定）　その他私物　モデル身長：170cm　

D-basics SS 10／
Centripetal knit bottleneck knit
求心編みのボトルネックニット （2023〜）

伸縮性に優れた 「ホールガーメント」 製法でつくったシンプルなニットです。
縫い目がないので着た時のごわつきがなく、 着心地は抜群。 ニットだけれど、 どこかカットソーのような感覚で着ることができます。
胸元と背中に入れた求心編みのファッションマークがポイントに。
かたちはシンプルに、 そして最小限のデザインでつくることで、 ホールガーメントならではの素朴な雰囲気が際立つものになりました。

ニットの中に着たカットソー：コットンスーピマテレコハイネック / イエロー　ボトムス：バルーンパンツ / アイボリー （ヂェン先生の日常着）　靴：参考商品　その他私物　モデル身長：170cm

D-basics SS 11／
Cotton milled fabric boatneck pullover
コットンフライス ボートネックプルオーバー （2022〜）

1枚で着ても様になる、 大人のための上品なボートネックカットソー。
出来るだけ縫い目が目立たないように、 そして首元が綺麗に見えるよう開き具合にこだわりました。
引き締まった編み目が醸し出す上品さとタフさを併せ持ったフライス生地は、 ストレッチ性にも優れています。
長く身に着けるほどに、 手放せない存在になっていく。 そんな一着です。

ボトムス：コットンボイルのキュロットパンツ / ホワイト　モデル身長：170cm　

D-basics SS 12／
Linen cotton easy pants
リネンコットンイージーパンツ （2022〜）

着心地・履き心地は楽ちん。 でも、 見た目は綺麗めにまとまる服を。
「D」 の服をデザインする際に心がけていることです。
ブランドの定番パンツといえば、 このかたち。 ウエストはゴムでゆとりある着用感がありつつ、 股上のファスナー開きやベルトループが付いたしっかりとしたつくりのため、 履いてみるとスラックスのような雰囲気もあります。
目の詰まった "綾織り" の生地は、 安心感のある厚みと履いた時の柔らかさ・軽さのバランスが絶妙。 見た目以上に着心地の良さが実感できるパンツです。

トップス：コットンスーピマテレコハイネック / イエロー　靴：参考商品　モデル身長：170cm

D-basics SS 13／
Cotton supima teleco high neck
コットンスーピマテレコハイネック（2024〜）

重ね着しやすいよう、 薄手かつ伸縮性のある生地がいい。 肌触りの良さと適度なゆとりも欲しい……。
自分が "欲しい" と思うインナーカットソーの要素を詰め込んで誕生したアイテムで、 カーディガンやベスト、 シャツのインナーとして大活躍します。
薄いカラーは透け感がありますが、 襟元や袖口からちらっと見せる際には一つの個性として良いポイントに。
アイデア次第で季節問わず着用できる万能カットソーです。

ボトムス：バルーンパンツ / アイボリー （ヂェン先生の日常着）　ネックレス：秋野ちひろ　問：CLASKA Gallery & Shop "DO" 二子玉川店　その他私物　モデル身長：170cm